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「秋田のこくほ」 (2013年10月)

表紙
<表紙>




坂本東嶽邸
「坂本東嶽邸」は、旧千屋村(現美郷町千屋地区)の村づくりの基礎を築いた坂本理一郎氏の邸宅です。
毎年紅葉の季節には、赤と緑の対比が鮮やかとなり、隠れた紅葉の名所になっています

CONTENTS

  保険者紹介
   美郷がいちばん、すきです美郷 
    「 美郷町 」

  
  (保健対策シリーズ No.350)


  がん対策特集「がんについて知ろう」
   第10回 喫煙・酒好き男性の友? 〜食道癌〜
   秋田組合総合病院 健康センター長  添野 武彦


  カラダよろこぶ!旬の食材 (社)秋田県栄養士会
   今月の食材「き の こ
  
  連合会のうごき

  連合会の主な行事予定
保健対策シリーズ
<350>
 
保健事業の取り組み
 

【美郷町 福祉保健課】 


 
歯周病予防に関する指導を新たに

 美郷町では、特定健康診査をガン検診などを行う集団検診と同時に開催することにより、受診しやすい体制をつくっています。また、追加健診項目として、全員に対し、心電図検査、クレアチニン検査、尿酸検査を実施しています。今後は歯周病対策として「成人歯周疾患検査」の受診率向上を図り、更なる周知に努めていきます。また、特定保健指導においても歯周病予防に関する指導を新たに取り入れて、健康意識の向上に努めていきます。
 また、病気予防の強化を図り、健康管理体制の充実のため、40歳から74歳までの国保加入者に対し、人間ドック及び脳ドック費用の助成を実施しています。県内のドック実施医療機関であれば、どこで受診しても2万円または3万円を助成しています。人間ドックを受診することで特定健康診査の受診に代えることができるため、受診率向上を図っています。

 
健康観が高まり、将来の介護予防に繋がる

 特定保健指導の一環として、運動教室を平成21年度から実施しています。
平成22年、23年度は、国保連合会と共催で実施しました。そこで現在御指導いただいている、(株)ピーベリーの児玉先生や加藤先生と出会い、運動指導をメインとした現在の特定保健指導の基盤ができました。
 フットケア、血液循環マッサージ、有酸素運動、腹筋とバラエティに富んだメニューに加え、先生の巧みな話術に、毎回汗と笑いが止まりません。参加者の状況に併せて、栄養や生活指導を併用し、途中に体の変化を確認するための血液検査も行っています。
 「メタボ」という言葉、ずいぶん浸透しましたが、改善への取り組みとなると、腰が重いようです。ポピュレーションアプローチの視点がもっと必要なのかと思案しています。そこで、この運動教室は予算を2本立てにし、特定保健指導対象者以外にも広く参加を募るような仕掛けを作っています。おかげで口コミで楽しさが広まりつつあります。
 口コミで受講者が増え、運動への関心が広がり、生涯学習へと結びつく、また、健康観が高まり、将来の介護予防に繋がる・・・そんな教室を目指しています。






保険者紹介 豊かな土壌に恵まれた県内有数の穀倉地帯



 美郷町は「平成の大合併」秋田県第1号として、平成16年11月1日に旧千畑町、旧六郷町、旧仙南村の3町村が合併して誕生しました。
美郷町は、秋田県の南部、仙北平野の南東部に位置し、東には奥羽山脈を境に岩手県、南は横手市、西及び北は大仙市にそれぞれ接しています。
 総面積は、168.36平方キロメートルで、東西に約14キロメートル、南北に約20キロメートルの広がりをもっています。西側は標高40メートルから50メートルの発達した扇状地の扇端部にあって、豊かな土壌に恵まれた県内有数の穀倉地帯を形成しています。全体の土地の形態は主に宅地、農用地、山林で構成され、宅地が3.4%、農用地が41.8%、山林が43.0%であり、可住地、非可住地が東西を2分しているという特徴を持っています。
 気候は比較的温暖で、夏は高温多湿、冬は降雪が続き寒暖の差が大きいという特徴を持っています。冬期間の積雪は平均で平野部が150センチメートル前後、山間部で200センチメートル前後に達します。



多方面からのアプローチ
8項目を重点取組事項を設定
     〜国保の取り組み〜

 美郷町における国民健康保険(以下「国保」という。)加入世帯数及び被保険者数は年々減少してきています。これに反比例して、被保険者の高齢化や生活習慣病の増加、医療技術の高度化などにより、一人当たりの医療費が毎年5%以上増加しています。
 そこで、当町では国保の現状と課題を踏まえ、次のように取組方針を定めました。
1 国保税率の見直し、2 国保税収納率の向上、3 被保険者資格管理の適正化、4 レセプト点検の充実、5 ジェネリック医薬品に関する情報提供、6 セルフメディケーションに関する情報提供、7 特定健康診査及び特定保健指導の充実、8 人間ドック等助成制度の充実 の8項目を重点取組事項としています。
 特に今年度からは、従来の医科、歯科、調剤の縦覧及び突合点検に加え、柔道整復施術療養費の縦覧点検に取り組んでいます。
 また、ジェネリック医薬品差額通知書を年2回発送するなど、情報提供を積極的に行っていく予定です。さらに、自分自身の判断で軽い疾病や健康管理を行う「セルフメディケーション」の情報提供を行うなど、多方面からのアプローチを心がけています。平成25年度からは、医師・薬剤師にジェネリック医薬品への切り替え相談をしていただくことで、被保険者の自己負担の軽減を図るとともに、医療の質を落とすことなく、医療の効率化が図られるよう「ジェネリック医薬品差額通知」のお知らせを実施することにしております。






国保主管課長より一言
美郷町 福祉保健課長 村山 太郎

 「古希を迎えてなお衰え知らず」

 美郷町の国保被保険者における60-74歳の構成比は50.8%であり、秋田県合計(55.1%)に比べると低いものの、全国合計(47.5%)より約3%上回っている状況です。『平成23年度医療給付実態調査』のデータに目をやると、全年齢平均の1人当たり医療費を100とした場合、60-64歳のそれは123、65-69歳では138、70-74歳は182であり、健康な高齢期を過ごしていただくことは、ご本人の生活にとっても、国保運営の安定化、ひいては国保に加入いただいている方々全体にとっても非常に大切なのだと痛感します。ローリング・ストーンズのミック・ジャガー、燃える闘魂のアントニオ猪木、俳優の田村正和などは全員1943年生まれの御年70歳。町内を見ても「古希を迎えてなお衰え知らず」という方々が大勢いらっしゃり、「美郷の国保」安定化の一翼を担っていただいていることに感謝の毎日です







       
「がん対策特集「がんについて知ろう」
第10回 喫煙・酒好き男性の友? 〜 食道癌 〜
 



男性が女性の約5倍
 進行した食道癌は、消化器癌のうちでも治療が困難で、しかも治療成績の芳しくない癌のひとつです。わが国での食道癌の死亡者数は、2009年の統計によれば、男性9908人、女性1805人で、男性が女性の約5倍多く死亡していることになります。悪性新生物での死亡者の第7位でした。わが国の食道癌は90%が扁平上皮癌で、60〜70歳代の男性に好発し、中部食道(心臓より少し上の高さの食道)が多いのが特徴です。

喫煙と飲酒が危険因子
 危険因子としては大量長期喫煙と大量飲酒(特に蒸留酒)が指摘されています。特に両方の習慣を持つ55歳以上の男性では、非喫煙・非飲酒者比して25倍も危険率が上がると言われています。また、遺伝素因として、酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人(アルデヒド・デヒドロゲナーゼ2欠損者)では、少ない飲酒量で発癌する危険があるとされています。

早期では症状がない
 早期癌(粘膜癌)では、他の癌と同様に症状はありません。病状が少し進むと、食物を飲み込んだ時に胸の奥の方にしみる感じがしたり、チクチクするような軽い痛みといった症状が現れます。更に癌が進行すると、このような症状は一旦消失しますので、軽快したものと誤解されます。しかし、その間にも病勢は進行し、食べ物がつかえる感じが強くなり、遂には、水も固形物も通らないという状態になります。

早期発見には内視鏡検査を
 このような高リスクの方は、内視鏡による検査を受けることが、早期発見に繫がります。癌の疑わしい病変を発見すると、通常の光線による観察の他、狭帯域光観察(narrow band imaging;NBI)に切替え、広がりや進達度診断も即座に行われます。また、正常な食道粘膜細胞に含まれるグリコーゲン顆粒が癌細胞には無いことを利用して、ヨード液を散布し、病変部が褐色に染まるかどうかが調べられます。正常粘膜は濃い褐色に染まるのに対し、食道癌では染まらず、黄色または白っぽく見え、有力な鑑別根拠となります(図1)。一方,食道透視検査も行われますが、病状の広がり、病巣の肉眼型などある程度進行した癌の診断には有力な手段ですが、早期の表在食道癌の診断にはやや弱い傾向があります。しかし、嚥下障害を来す疾患は食道癌ばかりではありませんから、その鑑別のうえからも、内視鏡検査と食道X線透視は欠かせない検査ということになります。

治療のための精密検査
 食道癌の治療を進めるにあたり、癌の進達度判定のため超音波内視鏡検査、周辺臓器への浸潤の有無や近傍のリンパ節転移,或は肝臓等の遠隔転移の精査のためのCT検査、MRI検査などが行われます。

様々な治療方法を組み合わせた集学的治療
 治療方法は,癌の病理組織所見、病期診断により変わります。表在癌の場合では内視鏡治療だけで終了することもありますが、多くの場合、手術をはじめ様々な治療方法を組み合わせた集学的治療が行われます。どのような治療法を採るかについては、食道癌の進行度(癌の壁深達度)によりアルゴリズムが示されております。内視鏡治療法は、表在癌のうち特に壁深達度の浅いもの(粘膜筋板を越さない症例)で、2/3周以下の場合に適応とされます(図2)。方法としては内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われます。


入院治療総額はおよそ150万円
 表在癌でESDだけで手術が完了した場合は、手術単価が221000円。入院期間を10日と仮定した合計額は、概算で60万円程度です。一方、代表的胸部食道癌とした場合、手術単価だけで569500円。入院期間が極めて順調で19日であったとしても、入院治療総額はおよそ150万円程度と見込まれます。

定期的な胃内視鏡または透視検査を
 内視鏡治療であれば軽い侵襲で治療が完結しますが、多くの場合、頸・胸・腹部の3箇所を切開する大手術となります。過剰飲酒、喫煙習慣を持つ60,70歳代の男性は、定期的な胃内視鏡または透視検査を受け,大事に至る前に対処しましょう。


プロフィール

添野 武彦(そえの たけひこ)

 昭和45年札幌医科大学を卒業後、昭和46年に秋田大学医学部第1外科へ入局。秋田労災病院外科部長、秋田市保健所長、市立秋田総合病院副院長を歴任し、平成23年定年退職。平成24年4月から秋田組合総合病院、健康センター長として、ドック検診と禁煙治療を担当している。





秋田県国民健康保険団体連合会